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2017-06-13

あなたたちの歌は本物だよ ある先生との別れ

こんにちは。

月に1度の老人ホームでの歌の会。
幸せな時間を共有させていただいています。

3年も通っているので、顔見知りの方も増えました。

いつも参加されている方のお顔が見えないと、どうされたのかなと心配になります。
ほとんどの方が80歳を超えるご高齢。認知症の方もいれば、ご病気の方もいます。目を開けないまま、参加されている方もいます。

ある男性の入居者の方。
お元気なときはお医者様だったので、先生と呼ばれていました。
私たちの歌の会をとても気に入ってくださって、毎回、テナーの素敵な声で歌ってくださっていました。ほとんど寝たきりの奥さまの頬をなでながら、耳元でいつも歌われていました。

その奥さまのお加減が悪くなった時は、「アメージンググレーズを歌ってやってください」と、私たちを病室に呼んでくださいました。

その奥さまが年末に亡くなったときには、先生もお加減が悪く、入退院を繰り返されていましたが、偶然にホームにいた私は、先生にお会いすることができました。

すでに呼吸も苦しく、ほとんどお話しされないと聞いていましたが、「会いたい」と車椅子に乗って私のところまで来てくださいました。

お若かった頃の奥さまとの想い出、お好きだった歌など、いっぱい話してくださいました。
「あなたたちの歌は本物だよ。だからずっと続けてほしい」。そう言ってくださいました。
そして、また一緒に歌うこと、先生の思い出の「ブンガワンソロ」という歌を歌うことを、約束してお別れしました。
そばにいたホーム長が驚くくらい、いっぱいいっぱいお話ししました。

その先生が亡くなられたと、昨日、聞きました。
1月からホームに行くたびに、「先生は?」と聞いてはいましたが、入院されていて、とうとうお目にかかることなく、亡くなられてしまいました。
せめて最後に、奥さまもお好きだった「アメージンググレース」を聞いていただきたかった。寂しいです。

私たちの歌の何を本物と思われたのかはわかりません。私たちはただ、入居者の皆さんと歌うのがうれしくて通っているだけです。でも、「続けて欲しい」と言ってくださった先生の想いにお応えして、これからもできる限り長くホームの皆さんと歌っていきたいと思います。

先生、すてきな時間をありがとうございました。
今頃、奥さまとアメージンググレースを歌われていますか?

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