母を想う

こんにちは。
インタビューライターのたなかみえです。

片付けものをしていたら、15年前に胃がんで亡くなった母に宛てた手紙の束を見つけました。そうじは一時中断して、ひとしきり手を止めて手紙に目を通しました。

青や黒のインクで丁寧に書かれた手紙には、母の病状を気遣いながら、母の気遣いに感謝するといった内容でした。

当時、母は、末期の胃がんで緩和ケア病棟に入院していましたが、お見舞いの人が訪れるとすぐ、義姉を呼んでお金を渡し、お返しを贈っていたんです。そんな母に反発して、「自分が病気なのに何をやっているの？」と声を荒げたこともありました。

夕方になると見舞いに訪れる父には、毎日、病院の売店でお弁当を買って渡していましたっけ。

「友達が少ない」。そんなことを口にすることがありました。でも、「言いたいことはすべて口にしているんだからしかたないじゃない？」と内心思っていました。
でも、母への手紙を読んでいると、母を大切に思ってくれている友人がいて、母もその人たちを大切にしていたことを感じました。

結婚するまでの数年間代用教員をしていた母。その時の教え子たちは、母が亡くなるまで、「先生、元気か？」「先生、うまいものが手に入ったから送る」など、子どもの私以上に、いつも気にかけてくれていました。それは、母も彼らを大切にしていたからなんだろうなと、今は思えます。
最近、私もときどき、母が言っていたように「友達が少ない」と寂しく感じることがあります。母に似たのか、歳のせいかわかりませんが。母と同じように（大嫌いだったはずなのに）、私に心を寄せてくれる人たちとの縁を大切に紡いでいきたい。母への手紙を読みながら、そんなことを思いました。

暑かったり、涼しかったり、雨が降ったり、地震があったり、へんな陽気です。
どうぞお身体に気を付けてお過ごしくださいね。